新しい旅立ち

ある日突然、彼がやってきて言った。

他に好きな人ができた、別れてほしいと。

人生でおそらく1番の、離婚した時よりも揉めに揉めて

納得できない部分も残しつつ、仕方なく和解し、別れた。

ヒメのことはどうするんだろう、私達2人の子供のような存在なのに。

彼からの回答は

預かってほしい、自分が新しい女と暮らすための

環境を整えるのと

ヒメの薬の調整を依頼したいとのことであった。

ただでさえ、浮気されて傷ついた心に

ヒメの容体も芳しくなく、

眠れない夜と食べれない日が続き、

私は会社で意識をなくしてしまった。

友人が会社まで迎えに来てくれた。

人生で本当に、光が見えず心療内科に通う日が続き

かろうじてヒメのお世話が出来ていた状態であった。

悔しいけれど、彼の幸せはまだまだ願えず、彼とその浮気相手に対し

世の中で1番苦しい死に方をしてほしいと思うくらいで

そんな

自分に嫌気がさす。

でも、ふとした時に仲良く過ごした日を思い出すことがある。

つらくて、笑うことも忘れてしまった。

このままじゃ私は廃人になってしまう。

ヒメは私の助けがないと、病状が悪化してしまうのに、しっかりしなくては‥

周りの友人達がみんなで私を支えてくれた。

ヒメのために、私は頑張らねばならないのだ。

浮気し、ヒメと私を捨てた男にいつまでも心を残している場合ではないのだ。

ヒメは私が引き取ることにした。

今住んでいた部屋は動物飼育が禁止のため

ペット可の部屋に引っ越した。

以前よりも広い、明るく光の入る部屋に。

体調も戻ってきて仕事も少しずつ行けるようになった。

彼のしたことは許せない。

浮気相手の女に、私への謝罪をさせた、女ひとり守れない情けない男。金で責任を取ったつもりでいるのだろう。

病気のヒメのことも結果守れず

自分のわがままで、周り全てを敵にした。

こんな奴は浮気相手の女と地獄に落ちろとさえ今だに思う。

私は、ヒメと2人で頑張ることにした。

人の不幸の上に自分の幸せなど成り立たないのだ。

顔を上げ、前を向く。

きっと笑える時が来る。

そばにヒメが居てくれるのだから。